Japanese
English
外科の焦点
胃の冷却および冷凍療法
Cooling and freezing method of the stomach
大井 実
1
,
長尾 房大
1
,
池内 準次
1
,
井上 勝雄
1
,
貴島 政邑
1
,
成川 恒夫
1
,
亀田 慶三
1
ÔI Minoru
1
,
Husaō NAGAO
1
,
Junji IKEUCHI
1
1東京慈恵会医科大学大井外科教室
pp.1137-1143
発行日 1963年9月20日
Published Date 1963/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203147
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Ⅰ.まえがき
胃出血の治療問題については,古くから,内科的療法を支持するものと,外科的療法を支持するものとの二派に分れて論議がたたかわされてきたが,その論議の分界点の一つに自然止血の可能性という問題がある.内科的療法を是とするものは自然止血の可能性を高く評価して手術的療法はその必要なしと断じており,一方,外科的療法を支持するものは,自然止血の可能性に未練をもちすぎて手術の時期を失することの弊害を強調し,十分に管理された早期手術がきわめて安全になされていることを主張しているのである.したがつて,いずれにしても,自然止血の可能性ということが問題の中心となつているのであるが,内科側にしろ,外科側にしろ,出血という現象そのものについてはほとんどなりゆきにまかせたままのかたちで治療法の是非を論じているのであつて,止血効果を促進させて治療成績の向上をはかるという方向にむかつての努力も少なかつたし,その方面の業績もまことに微々たるものである.いうまでもなく,出血対策の第一目標は止血,救命にあるわけであるから,たとえ原疾患が何であろうとも,まず,止血効果を促進することに主力をそそぐのが原則であるが,従来は適確な治療法がなかつたため,この止血という本来の目的をはなれて一足とびに治療方針の是非を論じてきた感が強い.
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