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特集 頭部外傷
〔15〕頭部外傷とヘルメット—(第1報)ヘルメット着装時の頭部外傷の力学的考察
MECHANICAL STUDIES OF HELMETS IN HEAD INJURIES
小林 茂
1
,
片山 透
1
Shigeru Kobayashi
1
,
Toru Katayama
1
1東京大学医学部脳神経外科
1Dept. of Neurosurgery, Tokyo Univ., School of Medicine
pp.959-960
発行日 1962年10月1日
Published Date 1962/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201352
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- Abstract 文献概要
ヘルメット着装時に起こつた頭部外傷について,衝撃の力学的エネルギーの大きさを1) 1000joule未満のもの,2) 1000〜4000joule未満のもの,3) 4000joule以上のものの3大グループに分け,それぞれの臨床所見,レ線所見,脳波所見とヘルメット破損状態などにつき49例の比較検討を試みた。すなわち1)のグループでは,ほとんどが意識障害もなく,レ線でも異常は認められず,脳波にも所見なく,ヘルメットの破損もごく少数軽微なものであつた。2)のグループでは意識障害は調査し得た18例中11例にはみられなかつたが,3例には12時間以上の意識障害がみられた。レ線には21例中6例に骨折を認めたが脳波ではほとんど著変がみられなかつた。ヘルメットは12例中7例に数cmないし10cmの皹裂が認められた。3)のグループでは全例に少なくとも1時間以上の意識障害があり,しかも11例中9例までが12時間以上であつた。レ線でも10例中8例までに骨折が認められ,正常脳波は11例中3例にすぎなかつた。ヘルメットは全例にかなりの破損がみられた(第1表)。前述の3グループの症例を落下物によるものと自己落下によるものに二分し,その差異をみると前者が後者よりも臨床症状,ヘルメット破損状態もひどく,ほぼone groupの差があるように思われる(第2表)。
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