Japanese
English
総説
頭部外傷の力学
The Dynamic Study of Head Injury
中村 紀夫
1
Norio NAKAMURA
1
1慈恵会医科大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, The Tokyo Jikeikai University School of Medicine
キーワード:
Brain injuries
,
Skull fractures
,
Head injuries
,
dynamics
,
Brain concussion
,
Scalp injuries
Keyword:
Brain injuries
,
Skull fractures
,
Head injuries
,
dynamics
,
Brain concussion
,
Scalp injuries
pp.97-105
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200150
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Ⅰ.何故「頭部外傷の力学」が脳神経外科において研究されるのか?
従来力学dynamicsなどという言葉は,高校時代を去って以来医学者ことに臨床医にとって,はなはだ疎遠になったもののひとつである.ところが最近では循環系に関しては流体力学が(例えば脳神経外科では動脈瘤の発生機序に関してlaminar flowとかturbulenceなど),また薬物に関しては薬動力学が研究され,そのほかにも力学という言葉が医学の中にも定着して来つつある.
人体における外傷は全く力学現象の産物にほかならない.すなわち人体に及んだ衝撃がこれを破壊し,その結果として身体に創傷を生ずるのである.その際におこる事態は2つの過程に分けて理解出来る.すなわち身体を生命をもたない物体とみなし,この物体が衝撃によって破壊される過程と,これに引き続いて人体が生物であるがゆえにもたらされる生物学的現象とである.
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