Japanese
English
特集 脳の生理
〔3〕神経生理からの一考察
NEUROPHYSIOLOGICAL STUDIES ON BEHAVIOR
沢 政一
1
Masaichi Sawa
1
1新潟大学医学部脳研究所
1Brain Research Institute, Niigata Univ. School of Medicine
pp.557-559
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201280
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
辺縁系の各部は各種の情動行動,あるいは自律系の機能その他と密接な関係があることは明らかである。われわれは辺縁系のうち主として扁桃核をとりあげ,微小電極法による検索をしているが,今までに得た結果から,それらの発現に関する扁桃核の役割りとその機序につきわれわれの考えを述べて見たい。
猫の扁桃核の主核から単一ニウロン活動を微小電極によりとらえ,まず側頭葉iのPosterior ectosylvjan gy—rusの下端の部分(この部は人猿等の側頭葉前端部と同じと云おれているが),を電気刺激すると,第1図のように各刺激ごとにスパイクがでたりでなかつたりするもの,刺激により非常に頻数のスパイクがでるもの,逆に今まででていたスパイクが消失するもの,以上の3型を認めることができる。また,細胞内記録したものについてみると,側頭葉前端の頻数刺激により膜電位が深くなり,すなわち過分極状態になりスパイクは消失し,刺激後もしばらくの間はこの状態が続くものがある。また,刺激に応じてスパイクが生じるものもある。ここで注意しなければならないことは,刺激の弱い場合と強い場合とでは反応態度が違う点である。第2図aは刺激に応じ過分極反応が生じている。刺激直後に脱分極の小さな波もみられるがスパイクは生じていない。しかし同刺激を繰りかえすうちに脱分極の波が大きくなりスパイクがこれに乗つているものもある。刺激が強い場合にはこの脱分極の起こり方が強く,bのようにスパイクが生じる。ざらに刺激を強くするとcのように脱分極の程度も増しスパイクの数も増加してくる。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.