Japanese
English
特集 てんかん
Discussion
発熱のてんかん性発作発射におよぼす影響—熱性てんかんに関連して
EFFECT OF FEBRILE STATE ON EPILEPTIC SEIZURE DISCHARGE:IN RELATION TO FEBRILE CONVULSION
柏瀬 芳世
1
,
宮坂 松衛
1
,
伊達 実
1
Yoshiyo Kashiwase
1
,
Matsue Miyasaka
1
,
Minoru Date
1
1東京医科歯科大学神経科
1Dept. of Neuropsychiatry, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine
pp.308-310
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201233
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小児は成人に比較して痙攣発作を起こしやすく,とくに発熱時にはその傾向がより大きいことは良く知られている。このような熱性痙攣の初発年令は3歳以下のものが全体の2/3以上を占め,また一方熱性痙攣を起こした時の体温は全体の約2/3が38.0°〜40.0℃であるといわれている。これら熱性痙攣を起こした小児は,後日になつて無熱時における痙攣発作,すなわち「てんかん」発作を起こしやすいといおれ,一方またてんかん患者が熱性痙攣の既往をもつ頻度は,一般の人々のそれに比べてはるかに多いともいおれている。私たちはこれらてんかん性発作発射の起きやすさに対する発熱の影響を,電気生理学的に検討したのでここに報告する。
実験には約20匹の親ネコを用い,軽量のクラーレ投与,人工呼吸下,無麻酔の条件下で,水枕に適温の湯をいれて腹部にあて,平常体温(36.5°〜37.5℃)を保つように留意した。新皮質系の感覚運動野と聴覚野,さらに旧・古皮質系の扁桃核と海馬の4カ所について,それぞれを直接局所的に電気刺激して限局性発作発射を誘発し,その閾値電圧および脳の電気的活動のパタンを,平常体温時と発熱時(38.5°〜40.0℃)とにおいて比較検討した。発熱の方法は主として発熱物質TTG静注により,ときとして高温の湯をいれた水枕によつた。なお300〜500gの子ネコ数匹についても同じ実験を試みている。
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