Japanese
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特集 てんかん
てんかん発射の神経機序
Neurophysiological Mechanism of Epileptic Seizure Discharges
澤 政一
1
M. Sawa
1
1新潟大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Niigata Univ., School of Med.
pp.587-598
発行日 1968年10月25日
Published Date 1968/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904530
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I.緒言
てんかんの発作が脳の神経細胞の異常に激しい発射によるということはHughlings Jacksonの卓越した洞察であり,脳波技術の導入はその考えの正しいことを立証したかに思われた。確かに近代の脳波学がてんかんという一つの疾患の理解に測りがたいほど大きな寄与をしたことは疑いない。しかし,てんかん発射の神経機序の理解については必ずしも効果的ではなかつた。発作によつて表現される精神的,身体的諸現象を電気的な波動に置き変えて,多くの人があるいはかなり有望そうな,あるいはほとんど身勝手ともいえる推論を試みたが,果たしてJacksonの洞察を越えるものがあつただろうか。
てんかん発作が脳の神経細胞の極端な発射に基因すると考えられる限り,そのうちの1個の神経細胞のふるまいを観察することは試みるべき一つの方法である。というよりも,それは現在の神経生理学的研究方法の有望な,しかし残されたただ一つの方法のようにも思われる。
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