Japanese
English
特集 嗅覚受容の分子メカニズム
嗅球の構成ニューロンとシナプス結合
Cellular and synaptic organization of the olfactory bulb
小坂 俊夫
1
,
小坂 克子
2
Toshio Kosaka
1
,
Katsuko Kosaka
2
1九州大学大学院医学研究院神経形態学分野
2九州大学大学院医学研究院医用量子線科学分野
pp.293-299
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100049
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嗅覚一次中枢嗅球は,Axel and Buck1)の分子生物学的解析でその後の機能的解析の方向づけがなされ,情報処理機構解析のモデルとして近年多くの研究が進められるようになった。一方,嗅覚系は他の感覚系と異なり,視床を介さずに感覚ニューロンが大脳皮質である嗅球に直接入力し,そこからさらに上位の中枢に投射することで従来から注目されてきた。さらに,嗅球が一般の感覚系における視床の役割を果たしているのではないかとの仮説2)も提唱され,システムとしての嗅覚系,その中での嗅球の位置づけに新たな視点からのアプローチがなされる可能性も出始めている。
嗅球の基本構造,基本的神経回路についてはいくつかの総説・成書3-9)にまとめられているので,ここではまず嗅球の構造全般について簡単に記述し,その後,われわれの最近の所見7)を中心に,形態学的に解明されつつある,しかし,機能的意味についてはまだほとんど解明されていない複雑な局所回路網について記述する。さらに,構造の面で残された基本的な問題のいくつかを指摘したい。
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