連載 電子顕微鏡による脳の形態学アトラス・10
味蕾taste bud,嗅上皮olfactory epitheliumおよび嗅球olfactory bulb
山元 寅男
1
1九州大学医学部解剖学教室
pp.100-108
発行日 1967年2月1日
Published Date 1967/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202169
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味蕾は,舌の葺状,葉状,有郭の各乳頭および口蓋舌弓,軟口蓋,喉頭蓋後面,咽頭後壁などいわゆる後部口腔粘膜の上皮内に存在する味受容器である。光顕的には,味蕾を構成する細胞の胞体は他の一般上皮細胞より淡明に染まり,しかも,味蕾の縦断像が,卵円形でタマネギの縦断像に類似しているので容易に判別できる。味蕾の先端部はいちじるしく細くなつており,ここを前後左右から蔽うように一般上皮細胞が伸びて,小孔(味孔)が形成される。
味蕾を構成する細胞を,味細胞,支持細胞および基底細胞に分けてそれぞれの機能を考察する入と,味蕾はただ1種類の細胞からなると考えている人とがあり,この問題.は未だ解明されていない。一般に味蕾の細胞は,紡錘形の細長い胞体をもち,底部は基底膜に接し,遊離表面側はいちじるしく細くなり,不規則な微小突起(micro—villi)が味孔内に僧びている。繊毛はみられない。これらの微小突起の間にはしばしば電子密度の高い均一物質が貯留しており,この物質は光顕的にも明瞭に認められる。各細胞は,遊離縁近くで癒合帯をもつて密に癒着している。
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