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綜説
末梢神経腫瘍の組織学的診断とその方法
HISTOLOGIC DIAGNOSIS AND ITS TECHNICAL REMARK OF TUMORS DERIVED FROM THE PERIPHERAL NERVOUS SYSTEM
向井 紀二
1,2
Noritsugu Mukai
1,2
1東京大学医学部病理学教室
2東京都監察医務院
1Department of Pathology, Tokyo University School of Medicine
2Tokyo Medical Examiner's Office
pp.155-176
発行日 1959年3月1日
Published Date 1959/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200767
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はじめに
中枢神経系の腫瘍の研究には,すでに他誌でくわしくのべたように,きわめて秩序ただしい体系がととのえられていて,その理解も理論的な骨子によく支えられている。これに反して,末梢神経系の腫瘍の研究には,未解決の重要な部分がいぜんとしてとり残されており,とくに全身の広汎な神経配布の状態から,さまざまな臓器に固有の修飾をこうむる結果,形態学のうえの整理にはまだまだ樗来の検討にまつべき点がすくなくない。したがつて,末梢神経・腫瘍の研究には興味ある多くの問題が埋もれていて,適正な方法論にもとついた仔細な検索ののちには,つねにあらたな事実が期待されるであろう。とくに,その解決の大部分を形態学に負うべき腫瘍の性格から,われわれの経験するそれぞれの症例の充分な検索とともに累積され分類されて,はじめて1つの体系を把握することができるのであつて,ここに,筆者が今日までの未完成な知見をもとにした末梢神経腫瘍の体系をひとわたり見渡してみるにさいして,あらためて,いかに多くの興味深い未知の分野が不毛のままにとり残されているかについて思いいたらされるのである。
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