技術解説
中枢および末梢神経組織の新しい染色法—有髄神経線維をめぐる形態学研究のために
向井 紀二
1,2
1東大医学部病理学教室
2東京都監察医務院
pp.530-539
発行日 1958年9月15日
Published Date 1958/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905503
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はじめに
1953年,Klüver-Barrera8)によつてあたらしく髄質の染色にとりいれられたCopper Phthalocyanine(CuPC)の化学的な特性や,すぐれた理論の裏付をもつた実用性については,すでに再度にわたつて詳しく記載14)17)してきた。
しかし,それらの内容は組織にかんする知識に通じていられる方々のために一つの前提をふくめてかいたもので,したがつて,歴史の浅いこの方法を識者のすぐれた研究のなかで,あらためて評価されることにつよい期待をいだきながらあえて不十分なデータをよせあつめたものにすぎなかつた。ここで,「臨床検査」編集部のあらたな企画にしたがつて,より多くの発表の場をかりて新しい方法に普遍性をもたせるためにも,いままでの形式とはかなり趣きをかえて,ふたたびCuPC染色について技術者の方々を主な対象として筆をすすめてみることにした。あるいは,あらかじめ設定したこのような枠にさまたげられて,広い範囲にわたる各術式のつながりに具体的な周到さをかくおそれがあるとしても,それらの不備を予め御諒解いただき,限られたスペースを有効に埋めることにしたい。
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