Japanese
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特集 小児神経病学
汎発性脳硬化症及び近縁疾患—病理形態学からみた諸問題をめぐつて
Diffuse Cerebral Sclerosis and Allied Diseases
向井 紀二
1,2
,
久内 徹
1
,
木代 晃
3
Noritsugu Mukai
1,2
,
Tooru Hisauchi
1
,
Akira Kishiro
3
1東大病理学教室
2日本医大脳組織研究室
3東邦大学病理学教室
1Dept. of Pathology, Faculty of Medicine University of Tokyo
2Laboratory of Nervous System, Nippon Medical College. Medical Examiner
3Dept. of Pathology, School of Medicine., Tōho University
pp.391-418
発行日 1962年7月25日
Published Date 1962/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903970
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I.まえがき
汎発硬化症の我が国における症例の本格的な概括は本年4月,臨床神経学会シンポジウムで横浜医大横井晋博士によつてなされた講演が最初のもので,今日まで散発的な症例が示した以上のきわめて有意義な総攬が我々に多大の示唆を与えてくれたことは記憶に新たである。ことに最近組織化学的な精査の累積によつて,いままで広義のD-S中に含まれた各種のvariantsが,chemicalな意味で細かく分類されつつあるとき,各大学の症例がすぐれた一人の研究者によつて再検討され各グループをすぐれた主観を通して一括された意義は大きい。病理学的研究のroutine courseとしての組織化学的技術は,ここで申すまでもなく固定の条件,期間,操作上の相違等である種のものではかなり術者によつて読取りうる範囲が区々であり,さらには論理の組立て方も各研究者によつて多少の径庭をみるため,第三者がそれらを総合して検討しようとするとき,容易に一つの系列の中で討論しえないことも多い。このような意味からも,今回の横井助教授の御仕事が,今後の我が国におけるD-S関係の研究の進歩に寄与する処多大であるものと信じられる(臨床神経特集号2巻1号参照)。
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