Japanese
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綜説
ドライ・アイスによる脳の凍結連続切片の作製
Frozen Section Technic by Dry-ice for Cutting Serial Sections Through the Brain
草間 敏夫
1
,
三橋 康夫
1
Toshio Kusama
1
,
Yasuo Mitsuhashi
1
1千葉大学医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Chiba University Medical School
pp.445-449
発行日 1958年7月1日
Published Date 1958/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200685
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脳の研究においては,たとえ,機能的な研究の場合でも,構造との関連性が多少でもあれば,連続切片の作製をさけることができない。ところが従来のツエロイジン包埋法などによつて,連続切片をつくるのは時間がかかつて大変である。実験をすすめながら,標本をみるなどということは不可能に近い。標本作製に要する時間を短縮するどとは,研究の能率をあげるためにぜつたい必要である。たまたま,著者の1人は,在ロス・アンゼルス・カリフオルニア大学医学部解剖学教室(カ大と略称)に留学中,ドライ・アイスを使用してきわめて手軽に,しかも短時間内に連続切片ができあがるのに大いに感心した。2週間もあれば連続切片ができる。もちろん,ツエロイジン包埋法にくらべると,標本はいくらかきたない。しかし,電極痕の位置をきめるなどの目的には十分である。帰国後,早速やつてみた。その結果ドライアイスさえ自由に入手できれば,日本でも十分使へる見込がついた。また最近,脳の研究がさかんになつたためか,本法についてたびたび質問をうける。それで,若干の経験をくわえて,ここに紹介したいとおもう。
脳の凍結連続切片は,普通の炭酸ガス法でも大型の凍結用ミクロトームがあればできないことはない。しかしドライ・アイスの場合のほうが,はるかに簡単に,しかも長時間,切片をきるのに適当な温度を保持できる。つまり切りやすい。したがつて,本法はいろいろな目的に応用できるとおもう。
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