カラーグラフ 正しい外科切除標本の取り扱い方・3
迅速凍結切片作製法
小坂 健夫
1
Takeo KOSAKA
1
1金沢医科大学一般・消化器外科
pp.733-736
発行日 2001年6月20日
Published Date 2001/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904476
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目的
術中の所見が術前診断と異なったときや,あるいは術中に新しく病変が発見されたときなどに,手術が適切に行われているかを判断する補助として迅速凍結切片(frozen section,以下,FS)が用いられることがある.FSの目的には大きく分けて以下の4つの場合が考えられる1).
(1)手術的に切除された組織が,炎症性か腫瘍性か,腫瘍性ならばそれが良性か悪性か診断する.
(2)腫瘍の切除に際して,摘出された標本の切除断端に腫瘍がないか,また腫瘍から断端までの組織学的な距離を診断する.
(3)正常組織構成の異常増加や欠損などを診断する.たとえばHirschsprung病における神経節の有無,あるいは慢性偽性腸閉塞症におけるmyo-fibroblastsの過増殖などの有無を診断する.
(4)本来の手術中のFSとはいえないが,各種の抗原を保存する目的で用いられてもいる.ホルマリン固定により抗原の多くがマスクされ,免疫組織学的手法の妨げになっていることはよく知られている2).凍結切片法では抗原が良好に保存されるため,ホルマリン固定標本に対するアンマスキングの手法が不要である.
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