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あとがき
pp.507
発行日 1956年3月20日
Published Date 1956/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200496
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学術書が高過ぎるという声をよく耳にする。高い,安いということは,絶対的のものではないから,同頁の一般書にくらべて高過ぎるという相対的な意味においてのことであろう。書籍の定価は,予想販売部数に対するネツトを計算して合理的に算定されているものである。従つて一般書のように何万,何十万という可能性を持つた販売部数を土台にしたネツト計算と,何百,何千という可能性しか持たない学術害のネツト計算,従つて定価のつけ方とでは性格の相違が出てくる。
ところが世の中には,往々にして,何頁でいくら,これは高過ぎるというようなことを言う者がいる。これは一般書と特殊な学術書を同一の次元において考える錯誤に陥つたものである。医書であれば約9万の医者有資格者のうち,医書を手にとる約半数たらずの3万くらいが大ざつぱな出版対象として考慮され得るのであり,事実はさらにそれが各専門領域に分れてゆく。だから当然何百,何千という数字しか出てこないのである。
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