Japanese
English
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多発性硬化症(綜説)(その1)
Multiple Sclerosis
冲中 重雄
1
,
今村 幸雄
1
,
椿 忠雄
1
Shigeo Okinaka
1
,
Yukio Imamura
1
,
Tadao Tsubaki
1
1東京大学冲中内科
1Okinaka's Clinic, Univ. of Tokyo, School of Medicine
pp.121-137
発行日 1955年5月20日
Published Date 1955/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200444
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I.緒言
最近我国の神経学界に於て中枢神経系に於ける脱髄を主要病変とする疾患群が新たに注目され始めている。多発性硬化症は此の疾患群の代表的な疾患の一つである。本疾患は周知の如く我国には極めて稀な疾患であるとされて来たが,近年之に疑義を持ち多数の症例を報告する者が現れている。本疾患は欧米に於いては日常に見られる疾患とされているが,此の彼我の相違については既に度々述べて来た如く,本疾患に対する概念の相違がその原因の一つである事が知られて来た3)。
我々は既に本疾患に属すると思われる症例を経験し12),その臨床的考察を進め,改めて我国に於ける本症の存否を検討する必要があると考え,之についても主張して来た3)。此の我国に於ける本症の存否や頻度を検討するには,之に先立ちて多くの人々が本疾患に関心を持つ事が必要である事は当然であるが,又本疾患が如何なる疾患であるか現在欧米では如何に考えられているかと云う点について知悉していなければならぬと思う。
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