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此處に腦膜腫とよぶものは,蜘網膜上皮腫及びその誘導型と看做されるものを指し,漠然と腦膜に發生した腫瘍を總稱するものではない。腦膜腫なる名稱に不滿を呈する學者も無いではないが,各種の命名にそれぞれの主張や歴史があるにしても,脳膜腫に勝る簡便な言葉を見出し得ない以上,輕々しく之を棄却することは出來ないと思う。脳膜に原發し得る黒色腫,膠質腫,脊索腫,眞珠腫,皮様嚢腫,畸形腫等は,その組織學的所見を顧慮して之を除き,同様に頭蓋骨又は骨膜性腫瘍も除外しておく。著者は石垣と共に剖検資料と手術材料とを比較して若干の相異を發見したが,腦膜腫の組織像の多様性と上皮的性格に興味を懷き,非腦腫瘍例の硬膜所見をも各齢期に亙つて検索し,腫瘍の發生母地を考察した。腦膜腫の組織學的研究は,腦軟膜やパツキョニ氏小體の特性を再考せしめるものがある。
東北大學醫學部病理學教室並びに桂外科教室に於ける37例の脳膜腫をCushing-Eisenhardt (1938)の分類様式に準據して診斷した成績は第1表に記載する如く,臨床例と剖検例とに就て著しい差異があり,前者ではI型が主を占めるのに,後者ではII型が主を占めている。臨床例では純然たる線維腫型(III)に遭遇しなかつた。之は本大學の特殊事情にもよるものと思われ,割検的に發見されたものは主として桂教授の著任以前のものであることを附記しなければならぬが,上皮細胞型の方が線維化の傾向を示すものよりも,より顯著に症状を現わすためではなかろうか。年階も剖検例の方が高年の方にずれている。
Thirty-seven cases of meningioma were exa-mined histologically and classified on the ori-ginal plan of Cushing and E: senhardt (1938). With the dura mater of 48 autopsy cases (meningioma 16, acoustic neurinoma 6, non-tumorous brain 26 ), writer searched after various stagcs of tumor germ (arachnoidal cell clust), if ocurred ever. On a case of meningio-ma, neoplastic change of the adjacent Pacchio-nian body was observed. The purpose of this paper is a reenforcement of neuro-ectodermal theory of meningiomas, proposing an idea of inductive transformation of the tumor tissue.
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