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序言
乘物に於ける暈いの問題は昔から船醉として典型的な型が知られているが,航室機の發達に伴つて航室病空暈として同じ状態が起されることが分り,總べて乗物に於ける暈いを動搖病motionsi-cknessと總括して呼んで重要な研究對象とされ主としてその豫防並びに治療方法が種々講じられている。
之等の研究に於て吾々は特に注意しなければならない點がある。それは動搖病或はそれに近い状態を惹起すべく,被検者並びに動物は,常にpassiveに動搖される。例えば廻轉臺に縛りつけて數十廻轉され又臺上に結えて上下に數十回となくpassiveに動かされる。併し通常の人或は動物の運動を考えてみると,Aktiveに動く場合は可成り激しい運動でも動搖病が現われないのは,之は實に不思議なことで,もつと注意されて良い,關心を持つ可き事實である。兎も野山を驅ける場合直線運動は勿論,カーブする圓運動又ピヨンピヨン跳ぶ上下動,種々雑多の所謂迷路刺戟が加えられるに拘わらず,驅けたあと兎は動搖病が起り伸びてしまうかと云うと,決してそんな經驗を吾々は持つていない。子供がなわ跳びをする際,迷路には相當強い上下動の刺戟が加えられ又なわとびをしながら走ると云つた場合には更に直線運動が加わるが,決してその爲に動搖病が起ることはない。換言すれば動搖病と一と口に述べられるが,それはpassiveに人,動物が動搖される時に起ることを認識す可きで,私は運動に於てactiveとpassiveの2つの動きの型を考える必要を痛感する。その理由は,從來の迷路生理に於ては動物を固定し上下動を與え或は廻轉して,眼筋,骨格筋,平滑筋に現われる反射をみて迷路反射を觀察しているが,迷路に與えられる上下動,廻轉等による物理的刺戟は,通常行われているpassiveな動きにせよ,動物や人の日常のactiveの運動にしろ,耳石或はクプラに加えられる刺戟には全然差異ない筈である。しかるに同じ刺戟ながらpa—ssiveに動かされる場合,はるかに暈い易い,暈いが來ると云う事實は,迷路に加わる物理的刺戟とその反射の觀察のみによつては説明不可能を意味する。と云うのは他の要因恐らく筋そのものの緊張のPassiveな動きとactiveの運動に於ける差異がここに介入すると私は考えるのであるが,この問題は今は暫く措き,人の姿勢の問題をac—tiveの運動とpassiveな動きの2觀點より眺めて私の平衡生理の一端即ち乗物の暈いと人の姿勢並びに乗物を驅る際の人の姿勢と運動効果に就て以下説明申し上げたい。
Fukuda has studied the relations between bodyposition and motionsickness from the sy-mmetry of human postures (eyes, head and trunk) in active and passive movements.
Because postrotatoric nystagmus varies by changing the positin of head or of eyes, he says that man can avoid motionsickness by taking postures (eyes, head and trunk) of active movements, even if he is moved, shaked and swung passively on boat, ship, motorcar and airplane.
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