論説
重曹注射に依る船暈の豫防—船暈の研究第一編
藤崎 茂巳
1
1長崎醫科大學耳鼻咽喉科教室
pp.48-56
発行日 1948年5月1日
Published Date 1948/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200054
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
本研究は船舶に據りて誘發さるる船暈の豫防に關する研究なり。古來船暈の發生に關しては幾多の學説を生じたれど、船舶の動搖が迷路を刺戟して本病を惹起せしむる事は、現今一般に考えらるる定説となれり。船暈の症候群は從來植物神經系統の障碍と聯關するものなる事は幾多の研究的事實によつて明かとなりたり。而して迷路刺戟が植物神經作用に影響し是を障碍する事も判明せられたり。猶且長谷川教授は上下連續運動刺戟に際し船暈の症候が起り、耳石膜剥離動物は是により何等の症候も誘發せられざるを發見せられ、加ふるに重曹水の靜脈内注射を以て耳石を消失し、船暈豫防の可能を明かにせられたり、而して私は長谷川教授の學説を人體實驗に移し一定の成績を得たり。依つて茲に諸賢の御批判を仰がんとす。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.