Japanese
English
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結核性腦膜炎における精神障礙—器質精神病の問題に寄せて
Mental Disorders in Tuberculous Meningitis
中川 四郞
1
Nakagawa, Shiro
1
1前橋醫科大學腦精經科
1Maebashi Medical Univ.
pp.197-202
発行日 1950年7月1日
Published Date 1950/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200120
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Bonhoefferによつて提唱された外因反應型の理論は,症候性精神病の問題に劃期的な進展を與えたが,それは直ちにKraepelin, Stertz, Kleist, Westphal等によつて一般に外因性精神病の問題として取上げられた。基礎疾患の主要機轉が腦髓にあつて,粗大な腦の病變と共に精神症状を呈する器質精神病は,症候性精神病と同樣に構成分析(Birnbaum)乃至多元診斷(Kretschmer)の理論に對する絶好の對象であり,殊に外傷精神病はその雛形とも見られてゐる(K. Schneid r)。器質精神病の場合は症候性のそれに比べて症状發呈の基礎が明かであるだけ腦髓の直接的な傷害状態が問題になる。しかし症候性精神病に於ても腦髓えの影響が大きな場合,器質性痴呆やコルサコフ症状等を遺すことがあり,兩者の間には移行状態が存在するものと考えられる。
Bumkeも兩者の間には嚴密な限界はないといつている。從つて現在症候性精神病に於ける諸問題,即ち(1)精神障碍發呈の諸條件,(2)同種疾患に於ける各種病像發呈の問題は,器質精神病に於ても檢討の對象となるものである。私は器質精神病に屬する結核性腦膜炎に於ける精神障礙を上述の觀點から取扱つて見ようと思う。
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