Japanese
English
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鯨の腦に就て
Anatomical Studies on the Cetacean Brains
小川 鼎三
1
Ogawa, Teizo
1
1東京大學醫學部解剖學
1Medical Dept, Tokyo Univ.
pp.159-165
発行日 1949年5月1日
Published Date 1949/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200029
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鯨といつてもいろいろの種類があるが,その中で最大の體長に達するのがシロナガスといふ種類で,90尺から100尺近くまで達するが,腦の目方は6キロから7キロである。絶對値からいつてこんな大きな腦は他にないわけです。しかし體の重さに比較すると1萬分の1といふやうな小さい數字になるので,體重に比較すればこんなに小さい腦をもつ哺乳動物は他にないことになる。
ところで,鯨類はみな體重に比較した腦重がそんなに小さいかといふとさうでなく,イルカは齒鯨に屬するが,比較的大きな腦をもつてゐて,體重に比較した腦の大きさの點ではシンパンゼより上で,人間の次ぎにくるほどである。フランスの解剖學者Anthonyはこの順位を甚だ不當なものであるとして,イルカをその正當な位置にひき下ろすためには腦重でなく,腦梁(胼胝體)の横斷面積をはかつてこれを智能の標準にするのがよいと唱へてゐる(1938)。
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