Japanese
English
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ウィールス學からみた脊髓前角炎(ハイネ・メヂン氏病)
Etiological Aspects of Poliomyelitis
川喜田 愛郞
1
Kawakita, Yosio
1
1東京大學傳染病研究所
1Institute for Infectious Diseages, Uni of Tokyo
pp.165-171
発行日 1949年5月1日
Published Date 1949/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200030
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向神經性ウィールス(neurotropic viruses)によつておこる人や家畜の感染病が數ある中で,脊髓前角炎(ハイネ・メヂン氏病)は,どの角度からこれを眺めても,その最も重要なものの一つであることについてはおそらく誰も異存があるまい。わが國においても古く明治年間からその流行は知られているが,昭和13年(1936)神戸地方に勃發した大流行を轉機として各方面の視聽をあつめるようになつたことは人の知るとおりである(註1)。それに關する知識の概要は例えば最近では第50回日本小兒科學會における大阪醫大巽教授の宿題報告(1)についてこれを學ぶことができる。
いま本誌の編集部が私に課した問題は,ウィールス學の見地からこの病氣の輪廓を描くととにあるのだが,おいおいに明らかにされるようなことがらそれ自體のむずかしさに加えて,そのウィールスに關する自家の經驗の乏しさが私に二重の困惑を與える。だが振りかえつてみると私が僅かばかりの地盤をもつ向神經性ウィールス一般との關連においてもそこに種々考えさせられる問題が含まれているし,一方,最近海外における脊髓前角炎ウィールス研究の激しい動きは誰かが一度せめてその概略だけでも紹介する必要があるかに思われるので,私はここに與えられた紙面の範圍内でいくつかの重要な問題に關する手短かな考察を試みてみたい。
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