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要旨 鎖骨下動脈盗血現象は,鎖骨下動脈起始部狭窄・閉塞に伴い,対側から椎骨動脈を介して血流を受ける現象で,患側上肢運動などにより血流の需要が増すと盗血量が増加し,椎骨脳底動脈系の虚血症状を呈することがある。透析のためのシャントは,恒久的に上肢の血流需要が増加しているかのような状態であるが,それが原因で鎖骨下動脈盗血現象を認めたと考えられる症例を報告した。症例は,47歳男性。B型肝炎関連腎炎による末期腎不全で,透析目的で左上肢にシャントを作成した。超音波検査で,左の椎骨動脈の逆流を認めたため,血管撮影を施行した。左鎖骨下動脈は軽度の狭窄であったが,右椎骨動脈から左椎骨動脈を経て左上腕への盗血現象がみられた。鎖骨下動脈の軽度狭窄と相乗効果で起こった現象と考察するが,透析患者は血管に石灰化をきたし,潜在的には本例のごとき患者は多数いる可能性があり,めまいなどの症状を見逃さないよう注意を要する。
We report a case of 47-year-old man with subclavian steal phenomenon(SSP). He affected chronic renal failure and received an upper extremity arteriovenous fistula creation for hemodialysis. Angiography showed SSP from right vertebral artery to left subclavian artery(SA), and mild stenosis of left SA. We consider that the course of SSP was synergetic effect of mild SA stenosis and hemodynamic effect due to arteriovenous access creation.
(Received : April 19, 2004)
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