Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.コミュニケーションの基礎機能
1.コミュニケーション能力の発達過程
Bruner(1975)3)は,コミュニケーション能力の初期発達を4段階に分けた。このうち,重要なものが次の3段階である。まずdemand modeと呼ぶ特徴を示す。この段階では快,不快などを表現するために,基本的に生得的なコミュニケーションルーティーンを練習する。これにより他者の反応予測を学習する。このような期待ができるようになるとrequest modeに入る。この段階で子供は周りの環境に物を指示できるようになる。そして最後にexchange modeと彼が呼んでいる段階にはいる。これが本来のコミュニケーションであり,このとき行為者と受け手の役割は交互に変わる。
一方,BarresiとMoore(1996)1)は心の発達段階を4つに分けている。第1段階では自分もしくは他者と対象との関係を理解する。つまり自分や他者が対象に対してどのように働きかけているのかを理解し表現する能力が発達する。他者の動作の理解は視覚情報を通して理解される。第2段階では他者と自分とが同一の対象物を共有して協同的にその対象に働きかける能力を持つ。第3段階では自己または他者のいずれかの入力情報と様々な記憶情報に基づいてその意図的な関係を理解する。たとえば,ある人がある対象に向かって特別な表情をしていたとする。その時,観察者は自己の感情などの記憶に基づいて,それと似た意図的関係を想起し,その意図的行為を理解するというものである。すなわち第3段階では,幼児は過去に他の場所で起こった記憶を適切な時点で想起することが可能となる。またこの能力によって,ごっこ遊びができるし,自己と他者の区別がはっきりとできるようになるという。第4段階はいずれの情報も行動の知覚によるものではなく記憶に基づいて認識を行うレベルである。この段階では,自己と他者と関係する対象間のさまざまな状況を頭の中に思い描くことが可能となる。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.