Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
2005年10月11日,わが国における超急性期虚血性脳血管障害に対する治療薬として,遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(recombinant tissue-type plasminogen activator:rt-PA)であるアルテプラーゼ(alteplase)が承認された。本薬の有効性はすでに確立し1),1996年の米国での承認を皮切りに,海外40カ国以上で承認,臨床応用されていた。わが国でも本薬の早期承認が求められていたが,最終的には日本人を対象にした治験(Japan Alteplase Clinical Trial:J-ACT)の結果を受けての承認となった2, 3)。ただし,J-ACT試験は比較的少数例(103例)でのオープン試験であったため,市販後臨床試験の実施や,3,000例以上を対象とする使用成績調査(全例調査)が承認条件となっている。いわば,仮免許状態ともいえる。血栓溶解薬としてのアルテプラーゼは,発症後3時間以内に使用すれば高い有効性が期待できる一方で,同時に出血リスクも高くなる“両刃の剣”というべき薬剤だからである。
承認に当たり,本薬を確実かつ安全に使用するための医家向けガイドラインが必要と考えられた。日本脳卒中学会医療向上・社会保険委員会は,承認が確実な情勢となった2005年8月にrt-PA静注療法指針部会を組織し,本療法の適正治療指針を作成した4)。同時にt-PA適正使用部会も組織され,後述する「rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法講習会」が全国各地で開催された。
本稿では,前述のrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法適正治療指針を中心に,国内外の血栓溶解療法ガイドラインについて解説する。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.