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特集Ⅰ 急性期脳梗塞のガイドライン
2.急性期脳梗塞の画像所見
The Diagnostic Imaging of Acute Ischemic Stroke
緒方 利安
1
,
岡田 靖
1
Toshiyasu Ogata
1
,
Yasushi Okada
1
1独立行政法人国立病院機構九州医療センター脳血管センター臨床研究部脳血管内科
1Department of Cerebrovascular Disease and Clinical Research Institute, National Hospital Organization Kyusyu Medical Center
キーワード:
brain infarction
,
DW1
,
early CT sign
Keyword:
brain infarction
,
DW1
,
early CT sign
pp.923-929
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100228
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はじめに
わが国において,脳卒中は死因の第3位,介護性疾患の首位を占めており,特に近年の高齢化社会では脳血管障害は増加の一途を続けている。しかし,脳卒中の多くを占める脳梗塞には痛みや重篤感がないために,発症後しばらく自宅で様子を見たり,救急車を呼ぶことをためらう患者がいまだに多い。脳梗塞では,治療効果が期待できる時間窓(therapeutic time window)が限られており,急性期の最適な治療を妨げる最大の障害は治療開始の遅れであるといわれている1, 2)。1980年代までのX線CTやMRIでは,発症から半日ほど経過しなければ脳梗塞巣の部位や広がりを明瞭に描出することはできず,臨床診断から治療へのアプローチには時間がかかっていた。
1990年代に入り,MRI拡散強調画像(diffusion-weighted image:DWI)が開発され,以後脳虚血発症後わずか数時間以内に脳虚血の病巣を正確に同定することが可能となった3)。さらに,MR angiography(MRA)や頭頸部血管超音波検査を用いることで閉塞血管の同定,塞栓症であれば塞栓源の同定などを行うことができ,画像診断は脳梗塞の臨床病型診断に多くの情報を提供し,治療方針決定に大きく寄与するようになった4)。2005年10月にアルテプラーゼによる経静脈的血栓溶解療法が認可されたが,その施行手順に頭部CT所見の判読が含まれており5),その適応を判断する際に画像診断の占める役割は大きい。
ここでは,急性期脳梗塞の診療の現状について述べ,急性期脳梗塞におけるそれぞれの画像診断の特徴について述べる。
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