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はじめに
頸動脈狭窄症は,高度狭窄を呈すれば血行不全をきたし,血行力学性脳梗塞の原因になり,また,脆弱な粥腫や狭窄部に形成された血栓が脳内に迷入してしばしば動脈源性脳塞栓症をきたす。冠動脈疾患や下肢動脈硬化性閉塞症に高率に合併し,高齢化,生活の欧米化などのためか患者は確実に増加しており,脳梗塞の原因疾患として非常に重要であると考えられるようになってきた。内科的治療として,抗血小板剤や抗凝固剤の投与と,高血圧や糖尿病などの危険因子のコントロールを行っても,脳卒中が一定の危険率で生じることが知られている。CEA(carotid endarterectomy)の内科治療に対する優位性を証明したNASCET studyによれば,120日以内にminor strokeまたはTIAをきたした症候性,70%以上の頸動脈狭窄症に対して平均18カ月間内科治療を行った際の患側の脳卒中発症率は総計26.0%,major/fatal strokeは9.0%であったという1)。1998年には,50~69%の狭窄例でも22.2%の発症があったと報告されており2),CEAを行えば脳卒中および死亡を有意に軽減することが示され(表1),高度頸動脈狭窄症に対する治療の第1選択がCEAであると言われるようになった。また,症候を呈したことがない,無症候性の頸動脈狭窄症でも,平均2.7年の内科治療で11.0%に患側の脳梗塞が生じることがACAS(American Carotid Atherosclerosis Study)で報告され3),やはりCEAを行うことにより有意に脳卒中を予防できることが示された。もちろん,CEAの優位性を保つためには一定以下に周術期合併症を抑える必要がある4)。そのため,CEAの治療成績を不良にする因子(危険因子)を持つ場合には,低侵襲治療として血管内治療に期待がかけられるようになった5)。
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