Japanese
English
総説
頸部内頸動脈狭窄症―CEAかステントか
Treatment of Carotid Artery Stenosis : CEA or Stent ?
遠藤 俊郎
1
,
桑山 直也
1
,
林 央周
1
Shunro Endo
1
,
Naoya Kuwayama
1
,
Nakamasa Hayashi
1
1富山医科薬科大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Toyama Medical and Pharmaceutical University
キーワード:
carotid artery
,
high-grade stenosis
,
CEA
,
stent
Keyword:
carotid artery
,
high-grade stenosis
,
CEA
,
stent
pp.577-584
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406100054
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はじめに
本邦においても,頸部頸動脈分岐部のアテローム血栓病変に起因する脳梗塞症例が増加している。とくに高度狭窄病変については外科手術の有用性が確立し,頸動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)がスタンダードな治療として広く行われてきた。また,近年は,血管内治療による頸動脈ステント留置術(carotid stenting:CAS)の進歩が目覚ましく,本稿のテーマである「CEAかステントか」が注目される話題となっている。両手技にはおのおの利点・欠点があり,病変の形状や病態の違いによって治療の向き不向きがある。このような手術手技に関する問題に加え,現時点で本テーマを論じるにあたっては以下の2点について認識しておく必要がある。第一は,CASの評価についてはCEAに準じるような確立したエビデンスは未だ得られていないこと,第二はわが国では頸部頸動脈を対象としたステント併用拡張術は保険収載されておらず,また特定保険医療材料として認可された頸動脈用ステントはない,という事実である。
受療者の立場からCEA,CASの選択を考えるならば,CASの低侵襲性,簡便性は大きな魅力となる。しかし,医療者の立場からは,とくに治療の根治性,安全性を重視する場合,なお解決すべき課題も多く,選択の議論は単純ではない。本稿では,CEA・CASに関する欧米での最近の臨床知見について,とくにCASの臨床治験結果を中心に整理するとともに,本邦の治療現状に関する調査研究結果を紹介する。読者の皆様が現状を理解する一助となれば幸いである。
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