Japanese
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展望
気分障害の神経科学—今,見えてきたもの
A Current Review for Neuroscience on Mood Disorders
野村 総一郎
1
Soichiro NOMURA
1
1国家公務員等共済組合連合会立川病院神経科
1Department of Psychiatry, Tachikawa Hospital
キーワード:
Mood disorders
,
Monoarnine hypothesis
,
Neuroscience
,
Serotohergic receptor
,
Adrenergic receptor
Keyword:
Mood disorders
,
Monoarnine hypothesis
,
Neuroscience
,
Serotohergic receptor
,
Adrenergic receptor
pp.1126-1137
発行日 1994年11月15日
Published Date 1994/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903761
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気分障害の生物学的病因をめぐっては,古くからモノアミン仮説という大きな流れがある。この仮説は古臭い考えのように思われがちだが,否定すべき明確な論拠も未だないのである。かと言って,この仮説に大きく歩み寄った所見も見い出されてはいない。いわば「塩漬け状態」になっており,生物学的病因論全体が暗礁に乗り上げているとみる向きもあるようである。しかし,一方で最近の基礎神経科学のすさまじいまでの進展は,精神医学にも確実に影響を及ぼし,新しい方法を駆使した所見が,気分障害についても次々と発表されていることにも注目せねばならない。それらを子細に見ると,個々には本質を突いているとも見える所見が集積されつつあることに気づく。本稿ではモノアミン系を中心として,最近提唱されている生物学的仮説,神経科学の新知見に基づいて,気分障害の病因に関連して今何が見えるのか,近い将来に何が見えてくるのかを展望する。ただその一方で,生物学的研究にありがちな誤謬についても強く意識し,問題点を指摘しながら論を進めたい。
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