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Seishin Igaku Volume 53, Issue 4 （April 2011）

精神医学 53巻4号（2011年4月発行）

Japanese English

シンポジウム気分障害の生物学的研究の最新動向─DSM，ICD改訂に向けて

気分障害の脳画像研究と先進医療NIRSの紹介―光トポグラフィー検査「うつ症状の鑑別診断補助」 Neuroimaging in Mood Disorders and the First Advanced Medical Technology as a Laboratory Test in Psychiatry 滝沢龍 ¹ , 笠井清登 ¹ , 福田正人 ² Ryu TAKIZAWA ¹ , Kiyoto KASAI ¹ , Masato FUKUDA ² ¹東京大学大学院医学系研究科精神医学 ²群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学 ¹Department of Neuropsychiatry, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo, Japan ²Department of Psychiatry and Human Behavior, Gunma University Graduate of Medicine キーワード： Mood disorders , Neuroimaging , Near-infrared spectroscopy , Laboratory test , Advanced Medical Technology Keyword: Mood disorders , Neuroimaging , Near-infrared spectroscopy , Laboratory test , Advanced Medical Technology pp.383-392

発行日 2011年4月15日 Published Date 2011/4/15

DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101847

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気分障害と生物学的指標

　1．気分障害と生活機能障害

　厚生労働省の2009年調査によれば，うつ病が大半を占める「気分障害」の患者が1996年43万3,000人，1999年に44万1,000人とほぼ横ばい，2002年から71万1,000人と急増し，2008年では104万1,000人に達したと発表された。10年足らずで2.4倍に急増したとして注目されている。

　また，世界保健機関(WHO)のGlobal Burden of Disease Report(2005年)によれば，すべての疾患を含めて計算した生活機能障害年数(years lived-with-disability；YLD)のうち，第1位31.7%が精神・神経疾患であった。上位5位までの構成は，①単極性大うつ病性障害(うつ病)(11.8％)，②アルコール使用障害(3.3％)，③統合失調症(2.8％)，④双極性障害(躁うつ病)(2.4％)，⑤認知症(1.6％)であった³³⁾。①と④を併せた気分障害は，その症状だけではなく，就業・学校・家庭における生活の機能低下に甚大な影響を与えていることがわかった。