「精神医学」への手紙
Letter—前頭部の律動性脳波記録について—眼瞼振戦との鑑別は?/Answer—レターにお答えして
平賀 旗夫
1
1菅野愛生会緑ケ丘病院
pp.220
発行日 1994年2月15日
Published Date 1994/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903617
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本誌1993年7月号に掲載された本多直弘氏らの珍しい症例報告5)を拝読しました。これは前頭骨内面の骨過形成に内分泌障害と分裂病様の精神障害を合併した中年の女性の症例で,両側の前頭極部に優勢な4〜6Hzの高振幅律動性記録がみられ,著者らはこれを前頭部の異常脳波として,前頭葉症状との関連について考察しておいででした。
しかし,論文中に提示された1回目の脳波記録の図では,①前頭極部で最大の分布を示し,陽性脚の切れ込みの深い鋸歯状律動波,②α波を欠く汎性低振幅基礎波,③高い混入筋電図レベルの3点が目立ちます。この3点セットは精神科領域の被検者ではよく見るもので,心理的・肉体的な緊張状態を反映した(判読に役立つ4))アーチファクトであることが多いようです。2回目の検査時に①が消えたのは,少し落ち着いたからではないのでしょうか。もし記録時に確認済み1〜3)の所見ならそのことを付記なさったらよいのにと思いました。
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