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特集 大脳辺縁系
イヌの急性および慢性実験における海馬律動波の態度—海馬律動波の出現条件に関する考察
THE CONDITION OF APPEARANCE OF THE REGULAR SLOW WAVE SEQUENCE IN THE HIPPOCAMPUS OF THE DOG
島薗 安雄
1
,
堀江 達雄
1
,
堀 信行
1
,
近沢 茂夫
1
,
岡部 雅夫
1
,
柳沢 義博
1
Y. Shirnazono
1
,
T. Horie
1
,
N. Hori
1
,
S. Chikazawa
1
,
M. Okabe
1
,
Y. Yanagisawa
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Kanazawa University School of Medicine
pp.879-886
発行日 1961年11月1日
Published Date 1961/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201143
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1.慢性に電極をうえこんだイヌの海馬やこれと密接な関係にある領域にあらわれる規則正しいθ波の連続を,波の持続性,動物の行動との関係,同時にあらわれる他の脳部位の電気活動などの点から,海馬律動波S,A,Dの3つに分けた。Sはいわゆるactivated sleepの時期に長く持続して出現し,Aは覚醒状態のイヌに関心をよびおこすような刺激を加えたとき,Dは入眠時,または眠りからさめるときに一過性にあらわれる。
2.海馬律動波Sは,睡眠中の動物に外から刺激を加えたり,脳幹網様体,視床非特殊核,視床下部などを適当な条件で電気刺激することによりこれを起すことができるが,完全に覚醒している動物の脳内の同じ部位を刺激してθ波の連続(律動波Aに相当する波型)をおこすことは困難である。
3.慢性に電極をうえこんだイヌをエーテル麻酔下に固定しクラーレ類薬物で非動化したとき,あるいはいわゆる急性実験の早い時期には,規則正しい海馬律動波が連続してみられ,この波型は慢性実験における律動波Sと区別できない。これは,tubocurarineその他のクラーレ類薬物の注射後しばらく経過したときやエーテル麻酔からのさめぎわに出現しやすい傾向がみられた。
4.急性実験の場合,海馬律動波の長い連続は坐骨神経刺激によつても誘発されるが,刺激が強すぎると律動波がくずれて非同期化をきたすことがある。
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