「精神医学」への手紙
Letter—Clonazepam断薬を契機に生じた悪性症候群の1例
今泉 寿明
1
,
鈴木 時彦
1
1可知病院
pp.1243
発行日 1993年11月15日
Published Date 1993/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903558
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clonazepam(CZP)の退薬症状(withdrawal symptoms;WS)を論じた竹内文一氏らの本誌掲載論文3)に関連して,類似する自験症例を示し双方の診断について考察する。
症例は67歳の女性。60歳でうつ病相を初発,複数の気分安定薬に抵抗し数週間の病相を反復する双極感情障害Ⅰ型,rapid cycler。抗精神病薬は重篤なパーキンソン症状を惹起するため,躁病相極期にかぎり用いていた。66歳より1ithium(Li)600mg/日,valproate(VPA)600mg/日を併用したが効果は不十分であった。ある躁病相で,Li,VPAに気分安定薬としてCZP 4.5mg/日を追加したところ,10日目頃から流涎・失調を来した。20日目にCZPを中止,薬物療法を再構築すべくLi,VPAも同時に中断したところ,翌日から流涎・失調は軽快した。断薬5日目,粗大振戦・筋強剛・上半身の発汗・38℃台の発熱・せん妄・CPK上昇(1,744IU/l)が出現した。この時,薬物の血中濃度はすべて検出限界値未満であった。悪性症候群(neuroleptic malignant syndrome;NMS)と診断,全身管理とdantrium,bromocriptine投与によって3週間後には完全に回復した。
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