「精神医学」への手紙
Letter—ジストニアは精神疾患の部分症状か?—藤本の疑問に対する意見/Letter—デポ剤による維持療法中の抗パーキンソン薬怠薬を契機とする悪性症候群の1例
丸井 規博
1
,
今泉 寿明
2
1京都大学医学部精神科学教室
2可知病院
pp.334-335
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904074
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頸部前屈を呈した破瓜病の1例を報告した拙論3)に対し,藤本1)からご意見をいただきました。本例のantecollisが遅発性ジストニアであるとしたことを疑問とし,種々の不随意運動が,精神疾患の1症状としても現れる可能性を銘記しておくべきだとするご意見でした。
そもそもKraepelin2)は彼の教科書において,今で言うジスキネジアを分裂病の1症状として記載しており,この問題は古くて新しい問題であると言えましょう。しかし,話をantecollisを含む頸部ジストニアに限れば,やはり薬剤性ジストニアを第1に考え,次には習慣性あるいは職業性ジストニアの可能性を検討し,次に神経疾患による症候性ジストニアを,最後に特発性のジストニアを考えることが学問的かつ臨床的な態度であると思います。この観点から本例をもう一度見れば,常同姿勢からantecollisに至った,いわゆる習慣性斜頸の可能性をもう少し検討すべきであったと思っています。
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