Japanese
English
特集 職場の精神保健
現代の職場の抱える精神医学的問題
職場不適応
Maladaptation at Work
廣 尚典
1
,
田中 克俊
2
,
長谷川 恵美子
3
,
島 悟
4
Hisanori HIRO
1
,
Katsutoshi TANAKA
2
,
Emiko HASEGAWA
3
,
Satoru SHIMA
4
1NKK鶴見保健センター
2東芝安全保健センター
3東京大学大学院身体教育研究科
4東京経済大学経営学部
1NKK Health Care Center
2Toshiba, Health and Safety Center
3Tokyo University
4Tokyo Keizai University
キーワード:
Adjustment disorder
,
Employee
,
Workplace
,
Stressor
,
DSM
Keyword:
Adjustment disorder
,
Employee
,
Workplace
,
Stressor
,
DSM
pp.1035-1040
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902297
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はじめに
「職場不適応」あるいは「職場不適応症」という用語は,精神医学において必ずしも市民権が得られているわけではない。「職場不適応」というのは,職場という環境における「ヒト」と「環境」との適応不全状態を指し示す言葉である。しかしながら「学校」という環境における「学校不適応」なる用語や,「家庭」という環境における「家庭不適応」などという用語は存在しない。学校への不適応現象の例は不登校であろうし,家庭への不適応現象の例は家庭内暴力であろう。昨今問題となっている「引きこもり」は社会との全般的不適応状態とも言えよう。「職場不適応」や「職場不適応症」なる用語は,後述するように,職場の健康管理を担当する産業医が,就業上の問題を呈する従業員に対する精神医学的対応を考える過程でカテゴリー化したものであるが,前者は状態像,後者は診断カテゴリーと考えられる。
本論では,「職場不適応」および「職場不適応症」の概念の歴史的変遷を紹介しながら,近縁の病態に触れ,筆者らの考えの一端を提示する。
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