Japanese
English
短報
がん患者の適応障害に関する検討
The Study of Adjustment Disorder in Cancer Patients
吉村 靖司
1
,
岡本 泰昌
1
,
末田 耕一
1
,
高見 浩
1
,
日域 広昭
1
,
大森 信忠
1
,
岡村 仁
2
,
内富 庸介
3
,
山脇 成人
4
Yasushi SUIMURA
1
,
Yasumasa OKAMOTO
1
,
Koichi SUEDA
1
,
Hiroshi TAKAMI
1
,
Hiroaki JITSUIKI
1
,
Nobutada OMORI
1
,
Hitoshi OKAMURA
2
,
Yosuke UCHITOMI
3
,
Shigeto YAMAWAKI
4
1国立呉病院精神科
2国立がんセンター中央病院精神科
3国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部
4広島大学医学部神経精神医学教室
1Department of Psychiatry, Kure National Hospital
2Department of Psychiatry, National Cancer Center Hospital
3Psycho-Oncology Division, National Cancer Center Research Institute
4Department of Psychiatry, Hiroshima University School of Medicine
キーワード:
Adjustment disorder
,
Cancer patients
,
Liaison psychiatry
Keyword:
Adjustment disorder
,
Cancer patients
,
Liaison psychiatry
pp.1231-1234
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405905031
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がん患者が陥りやすい心理状態として,病名や予後が告知されている場合には死に対する不安,絶望感から来る抑うつ,二次的な心気症状,告知されていない場合には上記のものに加えて,がんであるかいなかという不安,真実を告げず避けようとする周囲の人間に対する疑念,孤立感,怒りなどがあると考えられる。またがん治療に際しては,がんの告知,濃厚な治療,再発への恐怖,身体機能の喪失,再発の告知,死にゆく過程などによりしばしば感情の激しい動きを伴う場面が認められることが報告されている9)。Derogatisら4)は,がんに対処する時に50%は可逆的な通常反応をする一方,30%は抑うつ/不安症状を伴う適応障害を経験すると述べている。これらのことからがん患者は常に適応障害発症の高い危険性を有していると考えられる。
当院精神科では1989年よりリエゾンプログラムを導入し,各病棟スタッフの精神医学に対する関心を高めるとともに,がん患者に積極的にかかわっていくことを試みてきた10,11)。そのなかで,依頼されたがん患者の精神科診断のうち,適応障害はせん妄に次いで高い比率を示し8),その対処が重要であると思われた。しかし,がん患者の適応障害を中心に検討した報告は我々の知るかぎり見当たらない。そこで今回はがん患者に合併する適応障害とその臨床的特徴について検討を行ったので報告する。
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