特集 「治療を終える」に向き合う
【摂食障害】
〈column〉
編者より:摂食障害と「人生の納得度合い」
福田 正人
1
1群馬大学
pp.1573
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207450
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摂食障害は薬物療法の比重が小さいぶん,「治療を終える」を考える主体が当事者となることを,いずれの書き手も述べていたことが印象に残った。
神経性やせ症では,体重の増加に引き続いて,体型への懸念やアレキシサイミアの傾向,対人関係におけるアサーションの弱さについての心理的な回復を図り,「治療を終えるための準備期間」を設けて,仕事や興味,家族,友人関係など多面的な自分の領域を持つ「多元的アイデンティティ」が健康につながるという(西園マーハ文氏)。神経性過食症では,「社会における自己存在の意義を少しずつ感じ取り,安心と自信を持って自分の人生を歩める」ようになったうえで,「通院を終了するという意味で治療を終えたとしても,医療者を含め,さまざまな人たちにいつでもアクセスができ,つねに見守られていると感じながら生きる」ことが大きな力となるという(野間俊一氏)。中高年の当事者では,「一般精神科や心理カウンセリング」へ「段階的に治療の場を移」すことで,「治療の場を離れた患者が調子を崩したいざという時に,治療に安心して戻れる場を維持することは治療を終えることと同様に重要」とされている(山内常生氏・原田朋子氏)。
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