特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る
ディベート・セクション 10番勝負
脳卒中の急性期リハビリテーション
編者からのコメント
平野 照之
1
1杏林大学医学部脳卒中医学教室
pp.509
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228796
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編者が初学者であった頃の脳卒中リハビリテーションは「脳血流自動調節能の回復まで頭部挙上は厳禁,血圧と症候変化に注意しながら安静解除を段階的に進め」ていた.血圧変動が病状悪化に直結する血行力学的機序への配慮は必要だが,すべての患者に過剰な安静を強いて廃用症候群を招いていた可能性は否定できない.実際には急性期リハビリテーションのメリットがデメリットを上回る患者が大多数を占める.さて,AVERT試験は24時間以内の高密度リハビリテーション開始に一石を投じたが,病態の見極め(血腫拡大や切迫ヘルニアが懸念される脳出血,循環動態が不安定な進行性脳梗塞,など)が十分できないままの画一的リハビリテーション介入への警鐘と編者は捉えている.『脳卒中治療ガイドライン2021』の「合併症を予防し,機能回復を促進するために,24〜48時間以内に病態に合わせたリハビリテーションの計画を立てることが勧められる」という記述に従い,開始時期と介入量を決めるのが妥当であろう1).
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