特集 令和の脳卒中ディベート10番勝負—脳卒中治療ガイドライン2021とその先を識る
ディベート・セクション 10番勝負
急性再開通治療:脳主幹動脈閉塞例に対するdirect MT
編者からのコメント
平野 照之
1
1杏林大学医学部脳卒中医学教室
pp.468
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402228784
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前提として機械的血栓回収療法(MT)が施行可能な施設への直接搬送例を対象としたディベートである.両氏の脱稿後に発表された6試験2,314例の統合解析:Improving Reperfusion strategies in Ischemic Stroke(IRIS)は,direct MTのrt-PA bridgeに対する90日mRSシフトの補正オッズを0.89(95%信頼区間0.76〜1.04)と算出し,設定下限値0.82を下回ったため「非劣性とは言えない」と結論づけた.現時点では,抗凝固療法中など複数の慎重投与項目に合致しない限り,rt-PAスキップは推奨されない.なお,血栓回収後にrt-PAを局所投与したCHOICE試験は注目に値する1).有効再開通を得ていてもrt-PA追加投与による微小循環改善が,良好な転帰に寄与すると考察されている.
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