特集 「治療を終える」に向き合う
【双極症】
〈column〉
編者より:双極症の「治療主体感」
福田 正人
1
1群馬大学
pp.1555
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207445
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双極症の治療は,病状が安定してからも継続するというのが,現在の精神医療の推奨である。それを踏まえて,「治療を終える」という難しいテーマについて,深い経験に基づく知恵をいただくことができた。
「逆説的ではあるが,薬物療法を終えるという選択肢を持つことこそが,薬物療法の継続のために,有効な方法ということになる」(加藤忠史氏),「『治療を終えたい』と願うのは当然であると,患者の感情を肯定」し,「“無理が利く”健康な自分には戻ることができないという喪失感に寄り添いながら,新しい生活スタイルを模索する患者を支える」(利重裕子氏・水島広子氏),「セルフ・コンパッションが育まれ…自分の人生に意味を見出せ…多少の困難は乗り越えていける自分に対していささかの誇りと自信を持てている」(寺尾岳氏)というコメントのいずれもが,治療の主体は自分であるという当事者の感覚を元にしたものであることが印象に残った。「治療主体感」と呼べばよいだろうか。
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