Japanese
English
特集 現代における解離—診断概念の変遷を踏まえ臨床的な理解を深める
構造的解離理論とその後
Theory of Structural Dissociation and Theories of Treatments for dissociation after That
野間 俊一
1
Shun'ichi Noma
1
1のまこころクリニック
1Noma-Kokoro Clinic, Kyoto, Japan
キーワード:
構造的解離理論
,
theory of structural dissociation
,
解離性同一性症
,
dissociative identity disorder
,
DID
,
外傷
,
trauma
,
治療論
,
theories of treatment
Keyword:
構造的解離理論
,
theory of structural dissociation
,
解離性同一性症
,
dissociative identity disorder
,
DID
,
外傷
,
trauma
,
治療論
,
theories of treatment
pp.1041-1046
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207353
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抄録
van der Hartらによって提唱された「構造的解離理論」は,成因論と治療法を説明した包括的な解離理論であり,ICD-11にも影響を与えている。この理論では,解離性同一性症(DID)での交代するパーソナリティを「パーツ」と呼び,「あたかも正常に見えるパーツ(ANP)」と「情動的なパーツ(EP)」の複雑さによって3つの解離構造を指摘している。さらに「安定化」「外傷記憶に対する恐怖症の克服」「人格の統合」という3段階の治療論を提唱していて,この治療論はDIDの治療ガイドラインにも採用されている。その約10年後,同じ研究グループによって解離の新たな教科書が上梓されたが,そこでは「ANP」「EP」の概念が捨て去られるなど修正が施されている。その後も他の研究者によって,ANPなどの概念が積極的に採用されたり,安定化を目指す第1段階だけでも治療が進展することが指摘されたりするなど,構造的解離理論は今も解離を論じるうえでの参照枠になっている。
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