増大号特集 精神科診療における臨床評価尺度・検査を極める—エキスパートによる実践的活用法
Ⅱ章 疾患別の評価尺度・検査
強迫症及び関連症群
強迫症及び関連症群の評価尺度—Y-BOCS,MOCI
中尾 智博
1
,
豊見山 泰史
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
キーワード:
強迫症
,
obsessive compulsive disorder
,
評価尺度
,
clinical rating scale
,
Y-BOCS
,
Yale-Brown obsessive compulsive scale
,
MOCI
,
Maudsley obsessional compulsive inventory
Keyword:
強迫症
,
obsessive compulsive disorder
,
評価尺度
,
clinical rating scale
,
Y-BOCS
,
Yale-Brown obsessive compulsive scale
,
MOCI
,
Maudsley obsessional compulsive inventory
pp.559-564
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207267
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はじめに
強迫症(obsessive compulsive disorder:OCD)は特定の事柄に対して繰り返し生じる思考(強迫観念)と,それを打ち消すための繰り返しの行動(強迫行為)を特徴とする疾患である。強迫観念や強迫行為は長時間を浪費し,日常生活に強い悪影響を生じさせる。従来は不安障害(ICD-10では神経症性障害)を代表する疾患の1つであったが,病態,臨床像の違いから2013年刊行のDSM-5では,不安症群から独立し,衝動やこだわりを特徴とする「強迫症および関連症群」の中核疾患と定義付けられている。
OCDの診断や重症度の把握,治療効果判定の場面において最も広く用いられている評価尺度がYale-Brown obsessive compulsive scale(Y-BOCS)である。Y-BOCSは強迫症状の評価方法として信頼性と妥当性が担保されており,臨床から研究まで世界標準の検査方法として幅広く用いられている。本稿では,このY-BOCSを中心に,OCDの症状評価の方法について解説する。
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