増大号特集 精神科診療における臨床評価尺度・検査を極める—エキスパートによる実践的活用法
Ⅱ章 疾患別の評価尺度・検査
性機能不全群・性別違和
性別不合/性別違和の評価尺度・検査—UGDS,性別違和感尺度,HTPPテスト
木下 真也
1
1大阪医科薬科大学神経精神医学教室
キーワード:
性別不合
,
gender incongruence
,
性別違和
,
gender dysphoria
,
評価尺度
,
clinical rating scale
,
UGDS
,
The Utrecht Gender Dysphoria Scale
,
性別違和感尺度
,
The Feelings of Gender Dysphoria Scale
,
HTPPテスト
,
House-Tree-Person-Person test
Keyword:
性別不合
,
gender incongruence
,
性別違和
,
gender dysphoria
,
評価尺度
,
clinical rating scale
,
UGDS
,
The Utrecht Gender Dysphoria Scale
,
性別違和感尺度
,
The Feelings of Gender Dysphoria Scale
,
HTPPテスト
,
House-Tree-Person-Person test
pp.617-620
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405207277
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はじめに
性同一性障害(gender identity disorder)は,ICD-11では性別不合(gender incongruence)に,DSM-5では性別違和(gender dysphoria)に診断名が変更となった。大きな変更点は,ICD-11では精神疾患から外れたこと,DSM-5では「disorder」ではなくなったことであり,これは脱精神病理化を意味する。ただし,性別違和感そのものは病的ではないとはいえ,性別違和感により「生きづらさ」や「身体への嫌悪感」などの苦悩・苦痛が生じるため,ジェンダー外来においては性別違和感を適切に把握して,苦悩・苦痛が少しでも減るように一緒に模索していくことが重要である。
性別違和感の把握には本人や家族などからの問診が基本となるが,UGDS(The Utrecht Gender Dysphoria Scale)や性別違和感尺度といった評価尺度を用いることは有用である。UGDSは診断補助や治療効果の測定などを目的に世界で使用されており,性別違和感尺度は軽微な性別違和感が評価できることが特徴である。また,性別不合/性別違和の診断には他の精神疾患との鑑別が重要であるため,普段の診療場面で用いる心理検査を行うことが一般的である。本稿では,UGDSや性別違和感尺度などの評価尺度に加え,当科ジェンダー外来でスクリーニング的に行っている心理検査について解説する。
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