Japanese
English
特集 死別にまつわる心理的苦痛—背景理論からケアおよびマネジメントまで
大切な人との死別を経験した遺族の「成長」に関する一考察—死別を経験することにより人は成長し得るのか
A Study on “Growth” of Bereaved Families Who Have Experienced Bereavement of a Loved One
大岡 友子
1
,
清水 研
1
Tomoko Ooka
1
,
Ken Shimizu
1
1がん研究会有明病院腫瘍精神科
1Department of Oncology and Psychiatry, Cancer Institute Hospital Ariake, Tokyo, Japan
キーワード:
死別
,
bereavement
,
悲嘆
,
grief
,
人間的成長
,
personal growth
,
心的外傷後成長
,
posttraumatic growth
,
PTG
Keyword:
死別
,
bereavement
,
悲嘆
,
grief
,
人間的成長
,
personal growth
,
心的外傷後成長
,
posttraumatic growth
,
PTG
pp.1597-1604
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206798
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抄録 死別経験の当事者であり,同時に死別の悲嘆に苦しむ遺族をケアする専門家でもある立場から本稿を執筆した。本稿では,上記の視点から「大切な人との死別経験により人は成長し得るのか」について考察する。
近年,死別など困難な出来事により生起される人間的成長に関する研究が進められており,それらは心的外傷後成長(PTG)と呼ばれている。PTGが生起するメカニズムとしてPTGの包括的モデルが発表されており,このモデルの中ではPTGは喪失の意味の再構築後に生じるとされている。しかし,一方で,PTGが生じるのは意味の再構築後には限定されないという仮説も提示されており,このPTGモデルには批判もある。
医療者側は遺族に対して,「成長」,すなわち死別経験という苦難を肯定するような概念を提示するべきか,慎重に考える必要がある。
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