Japanese
English
特集 認知症診療における精神科医の役割を再考する
認知症患者の心情を重視したBPSD治療
BPSD Treatment Considering the Psychological State of Patients with Dementia
橋本 衛
1
Mamoru Hashimoto
1
1近畿大学医学部精神神経科学教室
1Department of Neuropsychiatry, Kindai University Faculty of Medicine, Osaka, Japan
キーワード:
認知症の行動・心理症状
,
behavioral and psychological symptoms of dementia
,
BPSD
,
心理状態
,
psychological state
,
嫉妬妄想
,
delusional jealousy
Keyword:
認知症の行動・心理症状
,
behavioral and psychological symptoms of dementia
,
BPSD
,
心理状態
,
psychological state
,
嫉妬妄想
,
delusional jealousy
pp.1173-1180
発行日 2021年8月15日
Published Date 2021/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206421
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抄録 Person-centered careの中で「BPSDはその人の心の表現であり,その意味をその人の立場で理解して対応する視点を持つこと」の重要性が指摘されている。認知症患者は,「家族に迷惑をかけるかもしれない」「将来何も分からなくなるのではないか」といった不安や怖れ,できなくなった自分自身への腹立ち,認知症になることへの憤りやあきらめ,周囲の人に認知症を知られたくないといった恥の感情など,さまざまな心情を抱いて暮らしている。認知症患者のBPSDの背景には,このような“患者の想い”があることを理解し対応することが重要である。「患者の声に真摯に耳を傾ける」「病気を診るとともに,病気の人を診る」という精神科医の診療スタイルが,BPSD治療には必要である。
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