Japanese
English
特集 強迫についてあらためて考える
統合失調症と強迫との関連—その歴史と論点の整理
Relationship between Schizophrenia and Obsessive-compulsive Symptoms:A review of historical and today's literatures
広沢 正孝
1,2
Masataka Hirosawa
1,2
1順天堂大学スポーツ健康科学部
2創生会おとめがわ病院
1Department of Sports and Health Science, Juntendo University, Chiba, Japan
2Otomegawa Hospital
キーワード:
統合失調症
,
schizophrenia
,
強迫症
,
obsessive-compulsive disorder
,
強迫神経症
,
obsessive-compulsive neurosis
,
精神病理学
,
psychopathology
,
生物学的精神医学
,
biological psychiatry
Keyword:
統合失調症
,
schizophrenia
,
強迫症
,
obsessive-compulsive disorder
,
強迫神経症
,
obsessive-compulsive neurosis
,
精神病理学
,
psychopathology
,
生物学的精神医学
,
biological psychiatry
pp.913-922
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206384
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抄録 統合失調症患者において強迫症状がみられることは少なくない。そのためか,100年以上にわたる精神医学の歴史の中で,統合失調症と強迫をめぐる議論が展開されてきた。しかし近代自己の確立とその維持に重点を置いた19〜20世紀の精神医学と生物学的エビデンスに重点を置いた現代のそれとにおいては,強迫概念自体が変化してきている。統合失調症と強迫の関係も,そのような時代の流れを前提として議論する必要があろう。DSM-5においては,強迫症の診断に病識が問われなくなった。このことが統合失調症と強迫症の関連,統合失調症における強迫の持つ意味の解釈にいかなる影響を与え得るか,本論では縦断的な視点で再考した。その結果,特に統合失調症における強迫の持つ意味に関しては,元より強迫症状の中でも「くりかえし」,「とらわれ」といった現象を対象とした議論にほぼ限られており,そこで得られた知見はDSM-5の時代においても有用であると思われた。
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