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特集 周産期メンタルヘルスの今
トリプトファン代謝経路に注目した産後うつ病のバイオマーカー開発
Development of Biomarker for Postpartum Depressive Symptoms Focused on the Tryptophan Metabolism
毛利 彰宏
1,5
,
齋藤 邦明
2,5
,
尾崎 紀夫
3
,
鍋島 俊隆
4,5
Akihiro Mouri
1,5
,
Kuniaki Saito
2,5
,
Norio Ozaki
3
,
Toshitaka Nabeshima
4,5
1藤田医科大学大学院保健学研究科レギュラトリーサイエンス
2藤田医科大学大学院保健学研究科病態制御解析学
3名古屋大学大学院医学系研究科精神医学・親と子どもの心療学分野
4藤田医科大学大学院保健学研究科先進診断システム探索研究部門
5特定非営利活動法人医薬品適正使用推進機構(J-DO)
1Department of Regulatory Science for Evaluation and Development of Pharmaceuticals and Devices, Fujita Health University Graduate School of Health Sciences, Toyoake, Japan
2Department of Disease Control and Prevention, Fujita Health University Graduate School of Health Sciences
3Department of Psychiatry, Nagoya University Graduate School of Medicine
4Advanced Diagnostic System Research Laboratory, Fujita Health University Graduate School of Health Sciences
5Japanese Drug Organization of Appropriate Use and Research
キーワード:
産後抑うつ
,
postpartum depressive symptoms
,
バイオマーカー
,
biomarker
,
トリプトファン代謝
,
tryptophan metabolism
Keyword:
産後抑うつ
,
postpartum depressive symptoms
,
バイオマーカー
,
biomarker
,
トリプトファン代謝
,
tryptophan metabolism
pp.1259-1267
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206182
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抄録 多くの女性は妊娠期および産後に抑うつ症状を経験する。これら周産期における抑うつの早期発見・治療は非常に重要であるが,妊娠期・産後の定期検診での診断・治療は難しい。周産期におけるうつ病の診断ができるバイオマーカーの同定が求められている。抑うつ症状は妊娠中の炎症性病的状態を伴う。うつ病の発症に炎症によるトリプトファン代謝の変化が関連することが注目されている。本総説では妊娠・分娩による血漿中トリプトファン代謝産物の変化と妊産婦の抑うつ症状との関連について紹介する。エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)に基づき,被験者を非抑うつグループ,産後抑うつグループ,妊娠期抑うつグループおよび持続的抑うつグループに分け,妊娠中と産後における血漿中トリプトファン代謝産物量を測定した。産後抑うつグループにおいて,妊娠期の血漿中キヌレニン(KYN)およびキヌレン酸(KA)濃度,KYN/TRPとKA/KYN比率の高値,産後の血漿中3-ヒドロキシアントラニル酸(3HAA)濃度の低値が認められた。
以上の結果より,妊娠期の血漿中KYNおよびKA濃度,KYN/TRPとKA/KYN比率は産後うつ病の予測バイオマーカーとして,産後の血漿中3HAA濃度は産後うつ病の診断バイオマーカーとして有用性が期待される。
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