Japanese
English
特集 精神疾患における病識・疾病認識—治療における意義
精神病早期段階における病識と介入・支援
Clinical Insight and Its Intervention and Support in the Early Stages of Psychosis
根本 隆洋
1
Takahiro Nemoto
1
1東邦大学医学部精神神経医学講座
1Department of Neuropsychiatry, Toho University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
At-risk mental state
,
Illness awareness
,
Insight
,
First-episode psychosis
,
Schizophrenia
Keyword:
At-risk mental state
,
Illness awareness
,
Insight
,
First-episode psychosis
,
Schizophrenia
pp.1437-1445
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205956
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
抄録 病識にかかわる問題は精神疾患の中でも統合失調症において最も議論がなされ,治療においても重視される。病識は比較的不変のものであるとされる一方で,各エピソードの早期段階といえる急性期には悪化し,治療とともに改善がみられることは日々経験することである。初回エピソードにおいて,それは初めての異常体験であり患者自身が病識を持たないのみならず,周囲もそれが病的との認識に至らないことがしばしばみられ,長い精神病未治療期間の一因となっている。精神病発症危険状態における病識の研究は未だ少ないが,初回エピソード精神病に比べその障害は軽度であるものの,個人間のばらつきが大きいとされている。障害されながらも,特に症状を病的なものであるとの認識が初回エピソード精神病よりも保たれていることは,同状態における認知行動療法の有効性の期待と実践に繋がっている。今後はリスク期も含めた病識のさらなる検討が欠かせないが,差し迫る臨床場面においては,病識の獲得が将来の希望と自尊心の維持に繋がるものでなくてはならないことを,常に肝に銘じておく必要がある。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.