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特集 高齢者のメンタルヘルス
高齢者における睡眠の問題とメンタルヘルス
Impact of Sleep Problems on Mental Health in the Elderly
金野 倫子
1
Michiko Konno
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部共通教育科
1Center for University-wide Education, Faculty of Health Sciences, Saitama Prefectural University, Koshigaya, Japan
キーワード:
Sleep problems
,
Older adults
,
Circadian rhythm
,
Depression
,
Dementia
Keyword:
Sleep problems
,
Older adults
,
Circadian rhythm
,
Depression
,
Dementia
pp.11-21
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205747
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はじめに
睡眠の問題は加齢に伴って増加することはよく知られている。わが国における2000年代の調査では,基本的には健康だが睡眠の量や質に何らかの問題を抱える人の割合は,60歳以上では約30%(29.5%)で,他の年代,たとえば40〜50歳台の18.9%と比べても約1.5倍となっている22)。このような傾向は諸外国の報告においても認められる23)。
一方,睡眠の問題は年代を通じて本人の生活の質(quality of life:QOL)を大きく低下させることが示されてきたが,近年ではさまざまな身体疾患,精神疾患のリスクを高めることが相次いで報告されている。さらに最近では,身体疾患,精神疾患の病理と不眠の間には双方向性の関係がみられるという報告も増加している。
本稿では,高齢者の不眠についてその特徴を整理し,他の疾患リスク,特に精神疾患のリスクとの関係について,これまでの報告を展望する。次に高齢者の不眠に対して治療的介入をする場合に留意しておきたい点について解説する。また,本稿では「睡眠の問題」,「不眠」を睡眠に関する自覚的訴え全般として,実際に診断される「不眠症」やその他の「睡眠障害」と区別して用いる。
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