Japanese
English
展望
臨床睡眠医学—精神科領域における最近の進歩
Clinical Sleep Medicine: recent progress in psychiatric field
内山 真
1
,
内田 直
2
,
渥美 義賢
3
,
融 道男
4
Makoto UCHIYAMA
1
,
Sunao UCHIDA
2
,
Yoshikata ATSUMI
3
,
Michio TORU
4
1国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部
2東京都精神医学総合研究所精神生理部
3国立特殊教育総合研究所情緒障害教育部
4東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室
1Department of Psychophysiology, National Institute of Mental Health, NCNP
2Department of Psychophysiology, Tokyo Metropolitan Institute of Psychiatry
3Department of Education for the Emotionally Disturbed, The National Institute of Special Education
4Department of Neuropsychiatry, Tokyo Medical and Dental University, School of Medicine
キーワード:
Sleep medicine
,
Insomnia
,
Parasomnia
,
Circadian rhythm
,
Depression
Keyword:
Sleep medicine
,
Insomnia
,
Parasomnia
,
Circadian rhythm
,
Depression
pp.6-18
発行日 1996年1月15日
Published Date 1996/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904015
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ヒトの睡眠研究は,1950年代のレム睡眠の発見によって急速に進展し,初期は精神科を中心に夢と精神病の関係についての実験的研究が盛んに行われた。その後,徐々に臨床的な研究が増加し臨床症候群の発見や記載が進んだ。1980年代になり欧米を中心に睡眠障害クリニックが多く開設されるようになった。睡眠障害の臨床的重要性が,独立した疾患として,また様々な精神疾患や身体疾患の随伴症状として再認識されるようになった。1988年のKrygerらによるモノグラフ27)の出版以来,睡眠医学(sleep medicine)という言葉が一般的になり,次第に1医学分野としての地位を固めつつある。こうした発展を踏まえ1990年には睡眠障害の国際分類が作成され12),診断と治療の指針が示された。
精神科臨床では,精神科疾患における睡眠障害のマネージメントの重要性はもとより,リエゾン・コンサルテーション精神医学の活動が盛んになるにつれ,他科から睡眠障害についてコンサルテーションを受けることも多くなっている。精神科医は最新の睡眠医学の知識を持って睡眠障害に対処することを要請される。多くの患者が睡眠障害に苦しんでいるにもかかわらず,日本において睡眠障害の臨床的重要性がまだ広く認識されておらず,睡眠障害クリニックの開設は極めて少ない。近年の睡眠医学の発展が必ずしも一般臨床に生かされていないのが現状と思われる。
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