Japanese
English
特集 精神科臨床から何を学び,何を継承し,精神医学を改革・改良できたか(Ⅱ)
発達障害
Developmental Disorders
山﨑 晃資
1
Kosuke Yamazaki
1
1弘徳会愛光病院
1Department of Child and Adolescent Psychiatry, Aikou Hospital, Atsugi, Japan
キーワード:
Developmental disorders
,
Autism spectrum disorder
,
Communication disorders
,
DSM-5
Keyword:
Developmental disorders
,
Autism spectrum disorder
,
Communication disorders
,
DSM-5
pp.1349-1354
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205732
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はじめに
最近,発達障害が過度に注目され,操作的診断基準による安易な診断が行われる傾向が強まっている。しかし,発達障害の概念は混乱しており,さまざまな学会のシンポジウムでテーマとして取り上げられることが多くなったが,発達障害を真正面から論じ,問題点を明らかにしようとする試みは不十分である。
さらに医師や専門家が「臨床への躊躇い」や「臨床への畏れ」を持たなくなってきたことも気になる。短時間の面接や行動観察で,「自閉症スペクトラム障害」や「発達障害」と安易に診断するようになった。米国精神医学会のDSM-Ⅳには「研修を受けていない人にDSM-Ⅳが機械的に用いられてはならない。…料理の本のように使われるためのものではない」と明記され,DSM-51)でも「診断を確定するためにDSMを使用するには,臨床の研修と経験が必要であり,…臨床的専門知識を必要とする」と述べられている。
言うまでもないことであるが,精神科臨床で発達障害が疑われる場合には,まず母子健康手帳の記載を参考にしながら両親から発達歴・成育歴を可能な限り詳細に聴取し,何度も面接と行動観察を行い,家庭・保育所・幼稚園・学校・職場などにおけるその人の状態を可能な限り聞き取り,その人の理解を深めていくものである。発達歴が聞き取れないこともあるが,その場合には臨床家の知識と経験を総動員させて,その人の理解と対応を検討しなければならない7,8)。
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